大阪城公園駅や大阪ビジネスパーク駅から大阪城に行く方は、途中で必ず極楽橋を通ります。
丁度、目の前に大阪城が顔を出してきます。基本は鉄筋コンクリートですが、両端は木とで造られているので趣があります。
大阪城「極楽橋」の場所、地図、その歴史、名前の由来についてご紹介します。
さらに詳しく
「極楽橋」場所
大阪城ホールの横を抜けて東外堀沿いを歩くと、青山門が見えてきます。この門を抜けて右折しましょう。
青屋門を抜けると右折、内堀沿いを歩くと大阪城と極楽橋が見てきます。ここは写真スポットですね。とてもいいアングルです。
石で「極楽橋」と書かれています。橋は鉄筋コンクリート作りですが、両端は木で造られています。ここは桜門(本丸に入る正門)の丁度反対側になっています。
江戸時代、極楽橋を渡ってすぐにある石垣の上に、山里門と多聞櫓がありました。今は石垣だけしかないのを確認できます。
写真は階段しか写っていませんが、右側にスロープが付いているので、ベビーカーや車いすからでも大坂城に向かうことができるようになっています。
「極楽橋」説明
極楽橋の丁度横に説明文があります。
山里丸と二ノ丸とを結ぶのが極楽橋です。豊臣秀吉が1583年(天正11年)に築造を開始した大坂城でも、この付近にかけられた橋を極楽橋と呼んでいました。
大阪夏の陣で落城後、豊臣大坂城は埋められてしまいますが、徳川幕府が再建した時に架けなおされました。
江戸時代には幅8mの木造でしたが、明治維新の大火で焼け落ちてしまいます。その後97年後の1965年(昭和40年)に再架橋されました。
現在の極楽橋は長さが54m、幅5.4mで橋脚と主桁を鉄筋コンクリートで造られていますが、上部は歴史的景観に配慮し、伝統的な擬宝珠高欄としています。
極楽とは仏教で説かれる安楽の世界をさすことから、戦国時代にこの地にあった浄土宗本願寺はの本山、大坂(石山)本願寺以来の名称ではないかと考えられています。
参考:極楽橋の説明文を抜粋し要約
なかなか歴史がありますね。2度なくなり、2度再架橋されて現在に至ります。下にまとめてみました。
極楽橋の歴史
- 豊臣秀吉の大坂城に極楽橋が架けられる(豊臣大坂城の極楽橋には唐門があった→現在、滋賀県の竹生島・宝厳寺観音堂に移築)
- 大坂夏の陣でなくなる
- 徳川再建の時に極楽橋が架けなおされる
- 幕末の戊辰戦争で焼失
- 1965年に再度、架けなおされる
大坂夏の陣と幕末の戊辰戦争で橋が2度なくなっていますが、徳川再建の時と1965年に架けなおされています。
江戸時代は8mだったのが、現在は5.4mに幅が縮小、ただ一部木造で趣があります。
気になっていた極楽橋という名称の由来ですが、豊臣大坂城が築城される前にあった石山本願寺に由来しているようです。
図録で「極楽橋」を確認
図録「描かれた大坂城・写された大坂城」の「大坂夏の陣図屏風」に豊臣時代の極楽橋が描かれているのがわかります。
また、徳川時代の絵図「大坂城ならびに町中絵図」「大坂城絵図」「浪華城全図」を見ると、他の入口は石垣であるのに対し、極楽橋だけは木造で描かれているのがわかります。
その他の図録「幕末の大坂城」の「幕末大坂城湿板写真」に「極楽橋前より山里口冠木御門並御本丸北の手御鉄砲奉行御預御櫓を望むの図」という写真パネルがあり、そこに江戸時代の極楽橋が写っています。
この写真を見ると極楽橋は今のに似ていますね。今と異なるのは極楽橋を渡ってすぐの所の石垣に山里門と多聞櫓が付いていることです。それだけでかなり印象が違います。
幕末に徳川慶喜の命により撮影された幕末のモノクロ写真は、撮影後すぐに戊辰戦争で焼失するのでとても貴重ですね。
学芸員が極楽橋の由来を語る
大阪城天守閣学芸員の北川央氏によると、金沢城にも極楽橋があり、それも金沢城築城以前に加賀一向一揆の拠点である金沢御坊がありました。すなわち極楽橋は、本阿弥陀如来のまします金沢御坊に向かう橋だったのです。
それと同じく、大坂城もかつて本丸の位置に大坂(石山)本願寺の御堂があったので、阿弥陀さんがおられる本願寺の御堂、極楽浄土へ向かう橋として「極楽橋」と名付けられたと語っています。
その名前が豊臣大坂城と徳川大坂城でも引き継がれて、今に至っています。
豊臣大坂城時代の極楽橋唐門は竹生島の宝厳寺観音堂に移築
豊臣大坂城時代の極楽橋にあった唐門は、滋賀県の竹生島にある宝厳寺観音堂に移築されています。
現在、豊臣大坂城の建築物は埋め立てられてなくなっていますが、竹生島に移築された唐門だけは、現地に行けば今でも見ることができます。国宝に指定。
追記:城郭考古学の千田嘉博氏の話によると、この極楽橋唐門は、京都の豊国神社に移築し、その後、竹生島の宝厳寺に再移築したそうです。
大阪城「極楽橋」地図・アクセス
JR環状線「大阪城公園駅」、地下鉄・長堀鶴見緑地線「大阪ビジネスパーク駅」からは、大阪城ホールの横を通り、東外堀沿いを歩き青山門を越えるとあります。
京阪本線や地下鉄・谷町線「天満橋駅」からは、外堀から内堀の方に入るようにしましょう。
「谷町四丁目駅」と「森ノ宮駅」からは丁度反対側になります。どうしても見たいという方は、天守閣の後に反対側の山里丸方面の坂を降りれば見られます。